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外国人人口が増加している街とは?

2025/03/23 不動産投資

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日本の在留外国人数は、358万8,956人となり、過去最高となりました。(出入国産在留管理庁調べ 2024年6月末)。

人口の流れがあるところに、不動産の動きも生まれます。なぜ外国人居住者の数が増えているのか、実際に外国人居住者が増加している街ではどのような取り組みを行っているのかを見ていきましょう。

なぜ在留外国人が増えているの?

日本では、高齢化社会・人口減による労働力不足が問題視されています。この問題を解消するために、外国人労働者を受け入れるための制度を整えてきました。

 

たとえば、これまでは日本で最大5年間の実務実習を学ぶ「技能実習制度」がありましたが、新たに「育成就労制度」が創設され、外国人材の育成と確保を目指します。

また、2019年に新設された「特定技能制度」では、特定技能ビザの導入により、国内での人材確保が困難と判断された分野において即戦力として外国人労働者を受け入れるための制度が整いました。これにより、建設業、農業、宿泊業などの分野で多くの外国人労働者が活躍しています。

2024年の訪日外国人旅行者数は3687万人となり、観光業の需要も回復。

観光業界での雇用機会も回復したこともあり、ますます多くの外国人が日本での就労機会を得ています。

外国人留学生も増加

また、少子化により学生の確保が課題となっている大学や専門学校でも積極的に留学生の受け入れを行っています。

2024年5月に発表された文部科学書の調査によると、2023年5月時点の外国人留学生数は279,274人となり、前年から20%増加。うち、留学性の多い地域は中国・ネパール・ベトナムとなっており、ネパール・ミャンマー・バングラデシュ・アメリカ合衆国からの留学性はコロナ禍に入る2019年よりも多くなっています。

コロナ禍が開け、入国者数の上限撤廃により留学生の新規入国が進んだことが理由のひとつで、留学生総数はコロナ禍以降初めて増加しています。

 

参考:「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について

外国人居住者が増加している街ランキング

日本国内で外国人人口が急増している街がいくつかあります。

なかでも注目されているのが埼玉県川口市です。川口市は、2025年1月末時点で約46,343人の外国人が居住しており、これは全人口の約7.5%に相当します。川口市の外国人人口は、他の都市と比べてもその増加率は顕著であり、10年で約1.7倍に増えています。

国籍別外国人数を見ると、中国が53.6%、ベトナムが12.8%、続いて、フィリピン、韓国・朝鮮、ネパールとなっています。

以下の表は、法務省出入国在留管理庁が2024年12月に発表した在留外国人統計を参考とした外国人人口です。多くの企業やビジネスチャンスがある東京都の外国人人口が増えているなかで、川口市の人口は3位となっています。

 

参照:在留外国人統計

参照:埼玉県川口市

なぜ川口市に外国人居住者が多いのか?増加が進む背景

なぜ川口市で外国人人口が増加しているのでしょうか。

 

まず、川口市は鉄道を利用して都心へのアクセスが30分ほど、かつワンルームで平均6万円台と住宅費が比較的安くなっており、東京都心に近いながらも生活コストが抑えられるエリアです。

多文化共生施策に力を入れており、外国人向けの情報提供や相談窓口の設置、コミュニティイベントの開催など、外国人市民が安心して生活できる環境を整える取り組みを行っています。加えて日本語教室や文化交流イベントを開催するなど、外国人住民の生活支援や日本語教育も行っています。

また、外国人の住環境改善にも取り組んでおり、多言語対応の案内や契約書の整備が行われています。

 

様々な国籍の人が安心して住める環境を整える取り組みが、人口の増加を後押ししています。

今後気をつけるべき点

一方で、川口市ではいくつかの課題も浮上しています。

 

まず、一部の住民とのトラブルです。例えば、医療センター周辺での騒動や不法に改造した車の危険走行、夜間の騒音、ごみの不法投棄などが問題となっており、地域社会全体での啓発活動や監視体制の強化が必要とされています。

また、在留資格を失効した仮放免者への対応も必要です。彼らは就労が許可されていないため、生活維持が困難な状況にあり、国や自治体が一時的な生活支援や再就職支援などの適切な対策を講じることが求められています。

さらに、文化や言語の違いによるコミュニケーションの難しさも大きな課題です。

 

異なる文化背景を持つ人々が共に暮らすには、お互いの文化や習慣を尊重し、理解する姿勢や地域社会全体で多文化共生の意識を高めることが必要です。

多文化共生のために行うべきことは?

今後、外国人人口が増えるなかでどのような施策を行うとよいでしょうか。以下のような具体的な施策が考えられます。

 

すでに川口市が進めているような外国人住民が日本語を学ぶための言語教室や、生活に必要な情報を多言語で提供するサービスを充実させること、また、行政手続きや医療サービスなど、生活に密接に関連する情報の多言語提供も整えなければなりません。

地域のコミュニティセンターやNPO団体が、外国人住民向けのサポートを充実させることも求められます。学校や地域の教育機関で多文化教育を推進し、子どもたちが異なる文化や言語を受け入れることも必要でしょう。

また、外国人労働者が安心して働ける環境を整えるために、労働条件の改善や労働権の保護、ならびに外国人労働者が日本の職場に適応しやすいようなサポート体制を整えることも必要です。

 

最後に、外国人住民が地域社会に溶け込むための施策として、社会的包摂の推進が重要です。

外国人住民が地域の活動に参加しやすい環境を整えることや、住民との交流を促進する取り組みが考えられます。これは行政や労働の範疇を越え、一人ひとりが意識できるのではないでしょうか。

 

外国人人口の増加に伴い、国籍を越えて多文化共生を実現することは必要です。

日本としても労働力の減少を補うため、海外からの就労者を受け入れる姿勢は変わりません。地域に住む人同士が互いに理解し合える社会を築くことが大切です。

 

【ワイズアカデミー(株)】

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